「The friend of Ringo Ishikawa」くにおくんになれなかった、ある不良のおはなし
The friends of Ringo Ishikawa ってゲームやった!
みょーだよ!
テスト終わった!なつやすみ!ってことで、早速ゲーム三昧しています。たーのしー!
でも、おにぃがやらせてくれるゲームってなんていうか、「いや面白いのは分かるんだけどさ、だからってコレ女子に勧める?」みたいなヤツが多い。今回やったThe friends of Ringo Ishikawaもまさにそんな感じ。
Vadim Gilyazetdinovさんっていう、くにおくん大好きなロシアの方が作ったんだって。
くにおくんの新作!今回はちょいシリアス!とか言われたら信じちゃうよーなゲーム。
「これならみょーも楽しめるかもしれない」って言ってやらしてくれたんだけどさ、今考えたら「かもしれない」とか保険かけて来てんなって気付くべきだった…。
いや、楽しんだよ!楽しんだけどさ!?っていう、そんなゲームの紹介をします。ネタバレ?っていうか、エンディングのコトとかまで書いちゃおうと思うので、クリア予定の方はその後に読んでね!
あとね、このゲームは周回要素とかないんだけど、ちょっとだけ叙述トリック的というか、2周目でしか感じられない風景があるとゆーか。もし一度クリアして「何このエンディング!クソゲーかて!二度とやらん!」って思ったひとは、この記事を読んで、もう一度あの町へ戻ってみて欲しいな。きっと、今度はしっくりくると思うんだ。
The friends of Ringo Ishikawaってこんなゲーム!
結構何でも出来る、オープンワールド系?のゲームなんだけど、ぱっと見はホントにくにおくん。だから、とりま道行く悪そうなヤツらの群れに飛び込んでキックばばば!ってやる!
やると!即死する!!よわー!!!!
リンゴくん、基本的にめっちゃ弱い。1人相手なら起き上がってきたところを掴まえて投げるの連発でそこそこ戦えるけど、2人だともう無理。空手に柔道にボクシングにムエタイといっぱいかじるのに、いつまでたっても多人数での戦いを学ばない。緊急回避も無敵時間もないし、ダブルラリアットもない。前後で挟まれると、順番に後頭部を叩かれ続けます。コントみたいで必見。てか必死。アイタ!ちょ!それやめれ!アイタ!だから!もー!ちょマジで怒っアイタ!(ホントこんな感じ)
いつまでもコントしてる訳にもいかないので、殴られまくっても平気なカラダ作りが必要です。体力のないうちは逃げ回って、毎日公園で筋トレ。お金がたまったらジムで筋トレ。つまり、レベルをあげて物理で殴るタイプのゲームです。テクニックなんてお飾りっす。そこはくにおくん的な方が良かったかな…。でも、テクニックいるゲームだとみょークリアできないからね!結果オーライ!
さて、ケンカ以外にもかなり色々出来ます。するもしないも自由。リンゴくんは家族もいないしお風呂もない、なんならお金もないホンモノの自由人なのです。せめてお風呂は欲しかった。そんな自由はいらなかった。
じゃーとりま、先立つものがあった方がいいよねって稼ごうと思ったら、その方法も色々あるワケ。不良から奪うか、アルバイトするか、勉強がんばって奨学金を貰うって手もあります。お金の使い道もいっぱい。喫茶店でおしゃれなゴハンを食べてもよし、アクセサリを買うもよし。めっちゃ吸うからタバコも切らしがち。中古のテレビを買うとビデオを観られるし、ファミコン買えばホントにシューティングを遊べます。バーではビール飲みながらギャンブルに興じるコトまで出来ます。極悪高校生っ!
さらにさらに、時間の概念もあります。
効率よくパラメータをあげよーとすると、「12時からの授業出て、終わったら部活。そのあと図書室で読書して、公園で筋トレして、夜はボクシング。帰ったら1時間だけ自習して朝6時まで寝よう」とか考えながら規則正しく過ごしがち。
全然不良じゃなくない?みょーよりぜんぜん優等生してら。
ストーリー
「石川一家」って感じの不良高校生グループ。
リーダー格のリンゴくんはいつも仲間を引き連れてケンカばかりのヤンチャな毎日を送っていましたが、3年生になって様子が変わり始めます。
拳を痛めてボクシングの夢を諦めそうになる健くん。
生き甲斐を見付ける事が出来ず荒んでいく吾郎くん。
ギャンブルにハマり、負けてヤクザになる道を強いられる将くん。
浮気されちゃってへこみまくりの四郎くん。
一家の仲間を放っておけないリンゴくんは、 ある時は殴り込みをかけ、ある時は妙に詩的な助言をして、彼らを救おうと奮闘します。
そうして困難を乗り越えていくうち、彼らの友情はより強く、確かなものになっていくのです。なっていくに違いありません。リンゴくんも、みょーも、そう思っています。
ある日唐突に訪れる、衝撃のエンディングを迎えるまでは。
ラスボスなし、味方もなしのエンディング
石川一家の最後の事件の顛末。
四郎くんの浮気相手をやっつけた事がきっかけで、その報復にあった吾郎くんは意識不明の重体。もちろんリンゴくんは彼らの学校へ乗り込む事を決意します。 四郎くんには将くんを駅に連れてくるよう指示し、健くんを公園で誘います。すると。
「俺は行かねぇ」
ブランコに座った健くんは殴り込みを断り、静かに諭し始めました。
「誰も行かねぇ」
健くんは進学するのです。もう幼稚な殴りあいに興味はない。
四郎くんは浮気していた彼女と仲直りしたそうです。彼女の友達を殴りに行くことは得策ではありません。
将くんはロクデナシだった。リンゴくんに借金を背負わせてもギャンブルを止められず、けっきょく金の無心をして回っているそう。仲間への義理なんて持ち合わせていません。
…だから、誰も駅には来ない。
健くんの言葉に、リンゴくんはタバコを地面に投げつけ「6時に待ってるからな」と呟くのが精一杯でした。
リンゴくんは結局、1人で電車に乗ります。
健くんは来ない。
将くんも来ない。
来ると言っていた四郎くんすら来ない。
リンゴくんただ1人を乗せた電車は、のろのろと雨の中を進みます。長い時間をかけて隣町に到着すると、待ち構えていた他校の生徒がホームで襲いかかってきました。
雨の中、リンゴくんは一言も喋らず沢山の敵を殴って、殴って、殴って…
やがて画面は暗転し、スタッフロールがはじまります。 え、いやいやいやいや…おわり?マジ?
そんな終わり方ってある!?
呆然としたよね。
突然みんながリンゴくんを突き放して終わり。まぁまぁ長い時間かけてリンゴくん育てて、仲間と一緒にここまで過ごして来たのに、これで終わり?そんな訳ないじゃんね。きっと、道を間違えてバッドエンドに突入しちゃったヤツだ!
自分を納得させて、攻略サイトを探し始めるみょー。
簡易的な攻略サイトしか見つからなかったんだけど、そこには「エンディングはひとつだけ」って…
えぇい、みょーは信じないぞ!!
で、パラメータを上げたり、セーブ&ロードを繰り返して色んなフラグを回収しつつ2週目もクリアしました。
………あーダメだー。エンディングはひとつだけ(※1)ぽいです。
そんなー!!
みょーは2周目を強くお勧めします!
Steamとかでこのゲームの評判を見てみたらね、
2周目をやる気にはならない
とか
突然のエンディングにプレイヤー置いてけぼり
みたいな感想が結構あるんだよね。
わかるー!
てかぶっちゃけみょーもそう思ったクチ!
でもね、あのね、2周目はヤバいよ。世界変わる。やる価値ぜったいある。
ってゆーのもねー、この「The friends of Ringo Ishikawa」が何を体験するゲームだったのかっていうのが、みょーは2周目でようやく分かったの。
1周目、みょーは色んな想像をしていました。
リンゴくん、幼馴染の愛子ちゃんと付き合ったりしちゃうのかな?
成績トップだと進学エンドとかになったりして!
ボクシングを極めたら健くんと一緒にプロになれる?
ロシアの小説いっぱい読むと文学少女と仲良くなってくし、一緒にロシア行くコトになったりしたらどーしよ!
などなどなど。
それってつまりね、リンゴくんを成長させてさ、彼の可能性と広がる未来を体験するゲームだと思ってたってこと。
違うの。ぜんぜん違うの。
そんなゲームじゃないんだよ、これ。
2周目で気付く、ゲームの方向性とタイトルの意味
1周目じゃ気が付かなかったんだけどさ、何でも出来るゲームなのに、実はリンゴくんつまらなそうなんだよ。ずっと。それが多分、このゲームの本質なの。
映画をいくつも観れるけど、だからって吾郎君みたいに俳優を志すワケじゃない。アクション映画を見て「この技をケンカに使ってみよう」とか思う程度。
本を読むのも暇つぶし。クラスの女子と価値観のズレた感想を言い合っておしまい。
廊下でリンゴくんをいつも待っている愛子ちゃんは、他のオトコの話をしては彼の気を引こうと奮闘し、ついにはリンゴくんのお家に乗り込みます。将来のお嫁さん候補だと言って。でも、リンゴくんには何ひとつ響かない。
リンゴくんと恋仲になれそうな女子は他にも2人程登場するけど、彼はぴょこぴょこ立つフラグをぜんぶスルー。クラスメイトに「愛のこと、まったく知らないのね」とあきれられる始末。結局、彼は恋愛にも全く興味を持てなかったの。
成績優秀になると「もしかしたら大学に行けるかもしれないぞ」とお腹の突き出た先生に褒められます。しかし、リンゴくんは仲間との不良生活を否定されてまで進学するつもりはないとキレはじめ、たしなめる先生ともその後は口もききません。才能あるのに、勉強も所詮は気まぐれだったってコト。
ボクシングに柔道、ムエタイも教えは全てマスターします。でも、それで終わり。プロになりたいとか試合をしたいなんて、彼は一度も口にしません。ケンカの道具でしかないのだから当然です。
そんなリンゴくんは劇中で一度だけ、自分が楽しんでいると公言します。エンディング直前、石川一家全員で他校の生徒と朝まで殴りあいをした時のこと。
友人達の心はすでに石川一家から離れつつあったハズ。しかし、それに気付かないリンゴくんはケンカの興奮から冷めないまま「最高だったな。そう思うだろ。なぁ」と仲間に呟きます。
一年前なら、誰もがそれに同意していたことでしょう。
でも、大人になった彼らはそんな風に思えない。
仲間たちはそれぞれ、ケンカ以外の事に価値を見出していたのです。
進学、ギャンブル、演劇、恋愛。
──リンゴくんだけが、いつまでたってもケンカ以外に興味を持てない。
ああ、なんてこと!!
振り返ってみれば、このゲームは最初からずーっとずーっと、それだけをプレイヤーに示し続けていたんだ。
これは、ケンカ以外に何をやっても夢中になれない、リンゴくんの失望と閉塞感を体験する為のゲームなんだ。
これ本当にすごいと思う。嘘ついてる訳でも、意図的に隠ぺいしてる訳でもないんだよ。 主人公が極端に無口なゲームでもないし、敵キャラが実は悲しい過去を抱えて…とかでもない。状況説明も細かいアニメーションでこれでもかってほど提示されてるのに、プレイする誰もがエンディングを迎えるまで、あるいはそこまで見てもなお「このゲームは最初から最後まで絶望的な悲しみを描いている」と気付かない。推理小説も真っ青じゃんね。
エンディング見て「なんぞこれ!唐突すぎる!」って思うのは、キレーに騙されてるからなの。
まだ夢から醒めてないの。
まだ「くにおくん」をやってるつもりでいるの。
根底にあるのは希望。夢。勧善懲悪。不良でも、頑張れば何にでもなれる。そんなストーリーを、まだ期待しているの。
リンゴくんはね、くにおくんじゃないよ。
このゲームは、何をやってもどうしてもダメで、仲間にも見捨てられてしまう、孤独な男の子の話。
あるいは、不良として生きるコトしか出来ないリンゴくんを見限って、それぞれの未来へ歩み始める、彼の親友たちの物語。
──The friends of Ringo Ishikawa。
くにおくんを準備して、リンゴくんのゲームをしよう
やりたくなった?やりたくなったよね?
爽快なアクションとコミカルな不良生活を期待させつつ、深く救いのない悲しみを体験させてくるとんでもないゲームだよ。巧妙に仕組まれたガッカリ感はもう芸術の域。やらない手はないよー!
…おススメしてるのかしてないのかイマイチ謎になってきた。おススメしてんだからね!ホントに!
あんね、楽しいし結構やりがいもあるし、プレイ後も結構ひたれるけど、注意点がいっこあります。
色んな体験をさせてくれるこのゲームだけど、みょー達がプレイ前に思い描いていた「くにおくんぽい痛快アクション」とかは出来ません。そこがフラストレーションあるやも。
だもんで、みょーは対策を考えました。
ずばり!「くにおくん」一緒に買っとけばいーんだよ!
みょー天才かって!はい拍手ー!!
プレステでもSwitchでもSteamでもくにおくんはとーぜん売っています。
ファミコンのやつとかいっぱい入ったくにおくん ザ・ワールドでもいいし、熱血硬派くにおくん外伝 イカすぜ!小林さんでも…って何だこれ。これはだいじょーぶなのか?まぁいーや。こういうヤツを準備した上で、The friends of Ringo Ishikawa、ぜひやってみて下さい。Steam版はときどきセールとかやるらしいよ!買う係はおにぃだから、みょーには関係ないけろ!
レビューおしまい。
どーだった?
初めてこんなにアツく語りました。実は書くのにすんごい時間かけてたりするのだ。
ひとにゲームの魅力を伝えるのって大変なんだなぁ。伝わってるかなぁ。
でも、これで誰かが興味持ってくれたらうれしいよね!
うん、たまにはこんな記事書いてもいいよねって感じで。
みょーもいつかゲームを作って、誰かに感想書いて貰えたらなって思います。
んじゃね!
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注釈内容『くにおくん』オマージュのRPG『Ringo Ishikawa』開発者が新作『Fading Afternoon』を正式発表。今度は「出所したばかりの中年ヤクザ」が主人公に「ストアページでの記述によると、『The friends of Ringo Ishikawa』に続いてマルチエンディング方式を採用しているという。」って書いてあるけどこれ違うよね? ↩